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株式会社 絵画保存研究所

Art Conservation Lab.

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更新日 2014-11-07 | 作成日 2008-04-01

版画及び水彩画、素描の修復

版画や水彩画は紙の上に制作される。従って用いられた紙の状態によって作品の寿命が左右される。
紙は、酸性になるとセルローズの分子が加水分解して、ボロボロになってくる。
 

紙の修復では

  • 酸性化した紙の脱酸処理
  • しみ抜き
  • 裂けや穴を直す為の補紙
  • 黄化したセロハンテープの除去
  • 絵具の剥落止めと剥落部への補彩

が行われる。

紙の作品の保存上大切なことは、適切な環境を維持することである。
光は50ルクス以下、湿度はRH(相対湿度)40〜50%に調節する。
マットは中性紙で作り、糊も中性水でうすめて用いる。 
 

foxbefore.jpgグロンメール「風景」ペン画/紙 修復前(クリックで拡大)このペン画には、カビに起因したFoxing(茶色のホシ)が多数発生していた。


 
foxafter.jpgグロンメール「風景」ペン画/紙 修復後(クリックで拡大)しみ抜きは紙とインクに安全な薬品を用い、吸引装置上で行われた。


paper01.jpg脱酸処理水酸化カルシウムや重炭酸マグネシウム液に浸して、酸性を中和する。この処置により、紙のpHは8.4〜8.8を示すようになる。この処置を受けた紙は、この後数百年を経てもなおpH7.0〜8.0を示し、相当の強度を保つ。
 


paper.jpg額装マットは中性紙ボード二枚で作る。一枚を台紙とし、もう一枚は台紙に重ねる窓枠となる。
絵を台紙にとめるには、和紙の小片と水性糊を用いる。