SEASON2 第十三回目
表装の技術①
表装とは、保存や鑑賞のために、絹や紙などの柔らかい支持体に描かれた東洋画を裂地や紙などを補って掛物、巻物、屏風、襖などに仕立てることです。
標準的な掛け軸の表装例
今回は、その中でも、飾られる機会が多い掛軸についてご説明します。
掛軸は、元々は中国の室内を飾るものとして考案されました。日本には、奈良時代に遣唐使によってその様式が伝えられました。初めは簡単な形式でしたが、時代と共に段々と多様な形式が発達しました。
掛軸の構造を理解するためには、掛軸の各部の名称と素材について知っておくことが大切です。一文字は、本紙の上下に付けられた裂地で、金襴や印金を用います。風体にも同じ裂地が用いられます。また、柱と中縁りには緞子、天地には無地の斜子や絓が用いられます。各部の名称は図を用いてご紹介します。
掛け軸の各部の名称