SEASON2-16

株式会社 絵画保存研究所

Art Conservation Lab.

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更新日 2014-11-07 | 作成日 2008-04-01

SEASON2 第十六回目

紙作品の額装

今回は、紙作品の額装について取り上げます

それぞれの絵に合った額縁の中に絵を入れ、壁に掛けられるように準備することを額装といいます。額装には、絵を美しく見せる役割と外界からの災害から絵を守る役割があります。

紙作品を額装することにより、室内の塵埃による汚染や湿度の変化から作品を保護することができます。さらに、中性のマットやボードと共に閉ざされた空間に絵を保存することにより紙の酸性化を軽減することもできます。額やその中に入れるべき絵やマットは、平均的な含水状態とするために、数日間、相対湿度40~45%の環境に保存してから用いた方が良いとされています。

通常、まず額の中にガラスかアクリル板を入れ、次にマットに固定した作品を置きます。その上に薄手の中性紙などのカバーを置き、裏板をあてて額装します。釘止めには、錆びない真鍮製の釘を用います。塵埃を防ぐために、裏板と額の隙間に紙テープを貼ったり、紙で裏面全体を覆うこともあります。

ガラスやアクリル板は、作品の光による劣化を防ぐために、紫外線を遮断するように作られたものや、作品を見やすくするために低反射になっているものを使用する場合があります。また、パステルや木炭など、顔料の粉が紙から離れやすい作品の場合には、静電気が起きやすいアクリル板の使用は避け、ガラスを用いるようにします。その場合、ガラスと作品の距離があくように窓マットを厚くします。作品の性質に合った額装にすることが大切です。

40paper.jpg額装例の図