SEASON2-21

株式会社 絵画保存研究所

Art Conservation Lab.

| HOME | コレクター大学 SEASON2 | SEASON2 第二十一回目 |

更新日 2014-11-07 | 作成日 2008-04-01

SEASON2 第二十一回目

温湿度のモニタリング


前回の調湿額・調湿ケースに関連しまして、今回は美術品周辺の温湿度のモニタリングについて取り上げます。

  • 美術品の保存のためには、美術品の置かれている環境を知ることが大切です。また、美術品を調湿額や調湿ケースに設置する場合には、温湿度のモニタリングが重要です。
  • 温湿度を常時測定するには、センサーを含んだデータロガーを用いるのが一般的です。データロガー内のデータを定期的にチェックすることにより、温湿度の変化を把握することができます。
  • 遠隔地でデータをチェックするためには、それに加えて測定した温湿度を遠隔地に送るための通信装置および電話回線(携帯電話など)からなる機器を美術品側に設置します。そして、遠隔地側には、温湿度データの受信を行うための電話回線、モデムおよびコンピュータを設置します。このシステムにより、温湿度の変化をリアルタイムに知ることが可能になります。設定した温湿度範囲から実際の温湿度が外れてしまった場合は、美術品側通信装置から自動的に遠隔地へ異常警報がなされるようにすることもできます。このような方法により、美術品が広範囲に散在している場合や遠方に置かれている場合は、温湿度点検にかかる時間、費用及び労力を節約することができます。
  • 45monitor01.jpg温湿度管理システム
  • 実際に調湿額内外の湿度を測定してグラフにしてみると、額外の湿度は変化するのに対し、額内の湿度は常時ほぼ一定に保たれていることがよくわかります。美術品輸送時など、短期間に温度変化が大きい環境に置かれた場合でも、額内の湿度は安全な範囲内に保たれます。
  • 45monitor02.jpg温湿度グラフ