SEASON2 第十四回目
表装の技術②
今回は、表装の方法として、掛け軸の仕立て方を取り上げてご紹介します。
一般的な工程として、まず、本紙および周囲にめぐらす裂(きれ)の裏打ちを2回行います(①②)。次に仮張り(③)。切り継ぎ、総裏、仕上げ工程に向かう作業がそれに続きます(④⑤⑥)。
①肌裏打ち: |
第一回目の裏打ち。薄美濃紙が使われ、接着は新糊で行われる。新糊の原料は生麩(小麦粉澱粉)。撹拌しながら約20分位煮た後、冷却し、裏ごしする。
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②増裏打ち: |
第二回目の裏打ち。美栖紙を使う。糊は古糊を用いる。寒中に生麩を煮て甕に入れ密封、冷暗所に10年前後ねかせた糊である。表具にしなやかさを保たせ、防黴等の効果がある我が国の伝統的な接着剤である。二回目以後は、全てこの古糊を使用する。ただし、この糊は接着性に乏しいため、それを補うために、よく打刷毛で打ち込んで圧着させることが必要である。
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③仮張り: |
増裏打ち終了後、乾燥し、本紙や裂を湿らせてから仮張りに張り、乾燥させる。
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④切継ぎ: |
その後は、仮張りからそれぞれをはずし、本紙、裂を裁断しながら切り継ぐ。最後に左右の耳を折って両端小口を整える。ここで掛軸の形が形成されることになる。
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⑤総裏打ち: |
最終の裏打ち。まず上下に八双や軸を取り付ける袋を置く。次に、上部より上巻絹、宇陀紙で裏打ちを行う。
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⑥仕上げ: |
乾燥後、仮張りに水張りして長期間乾燥させる。途中で掛軸を仮張りからはがし、狂いを直す。掛軸に仕上げる際、裏面にイボタロウを引き、ガラスの数珠でこすりなでて仕上がりを柔かく保ち、また、裏面に光沢を持たせることによってすべりを良くする。次に、軸首を付けた軸木、上端部に八双を付け、最後に風帯、鐶、紐(啄木紐)を付けて完成する。
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